BATIC(国際会計検定)の難易度|コントローラーは独学で取得可能か?実際の受験経験から書いてみた

簿記・英文会計

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こんにちは。30代で英語の業務未経験からグローバル経理職に転職した国際経理の中の人(@baticwords_bot)です。

しばしばUSCPAと比較される英文会計検定のBATIC。

この記事ではそんなBATICの難易度や、独学でも取得可能なのか等を、実際の受験経験からリアルに書いてみたいと思います。

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BATICの概要

そもそもBATICは合格・不合格のある試験ではなく、TOEICのようにスコア制になっており、

  • Subject 1:400点満点
  • Subject 2:600点満点

の計1000点満点となっております。

Subject1とSubject2はそれぞれ別々に出願する、独立した試験となっています。

同時に出願して同じ日に受験することも可能ですが、Subject2はSubject1のスコアを320点以上取っていないと認められません。

Subject1のスコアを320点以上取っていれば、Subject2のスコアに400点が加算されたものが取得スコアとなります。

そして取得スコアに応じて4段階の称号が与えられます。称号は、

Subject1:

200〜319点Bookkeeperレベル
320〜699点Accountantレベル

Subject2:

700〜879点Accounting Managerレベル
880〜1000点Controllerレベル

の4つです。

多くの人が気になるのは、果たしてBATICの各レベルは独学でも取得可能なのか、それとも予備校に通学すべきなのか、と言う事だと思います。先に言っておくと、僕は予備校の講座に通ってControllerレベルを取得しました。

しかし、Controllerレベルを取得するには必ずしも予備校への通学が必要だとは思いません。

なぜそう思うのか、についてこの記事では詳しく説明していこうと思います。

それではまずはBATICという試験がどういう試験なのかおさらいして行きたいと思います。

BATIC の難易度:出題形式の特徴

BATIC の問題構成は

Subject1:

試験時間1時間30分
択一問題60題
記述問題4題

Subject2:

試験時間2時間30分
択一問題60題
記述問題4題

となっております。

択一問題は、

択一問題の配分

Subject1:

  • 問1〜30:Bookkeeperレベルの範囲
  • 問31〜60:Accountantレベルの範囲

Subject2:

  • 問1〜30:Accounting Managerレベルの範囲
  • 問31〜60:Controllerレベルの範囲

というというように、半々になるように明確に出題の配分が決まっています。

記述問題は、両Subjectとも問60〜64で出題され、出題される論点は毎回変わり、事前に知ることはできません。

BATICの択一問題の特徴

さて、ここが特徴的なのですが、実はBATICの択一問題ではこの公式サイトにある出題範囲の論点がまんべんなく1〜3題くらいずつ出題されます。

なので、ヤマを張ってもあまり意味がありません。全部出題されるからです。

と言ってもご心配なく。逆に言えば、あまり深く突っ込んだ問題は出題されず解法のパターンも決まっているため、幅広い範囲の基本的な知識を確実に理解しておくことが求められます。

しかも各論点が出題される順番までほぼ決まっています。

マラソンランナーがコースのアップダウンを体で覚えるように、「これが来たから次はこれ」と予測が立てることが出来るのです。この事を理解しているかどうかは非常に大きな違いになると思います。

以上のことから、過去問を何度も復習するのが非常に有効な対策となります。(僕も使っていたオススメの過去問は記事の後半で)

BATICの記述問題の特徴

択一問題にたいして、記述問題はどの論点が出題されるかは当日にならないと分かりません。

そうは言っても、各論点での出題パターンはだいたい決まっているので、ここもやはり過去問をしっかり復習するのが有効となります。

BATICの出題分野

BATICで問われる分野は簡単に言うと、

出題分野
  • Subject1:日商簿記3級レベル(の英語版)
  • Subject2:日商簿記2〜1級レベル(の英語版)

の会計知識が問われます。

Subject1は3級レベルの処理が出来れば、あとはそれがそのまま英訳されて出題されると思って下さい。

Subject2は2〜1級としましたが、簿記1級ほどではないが、2級レベルの知識だけでは足りないということです。

2級では問われない、外貨換算、デリバティブ等が出題されるからです。

厳密には日本基準とIFRS(国際会計基準)で異なるのですが、イメージとしてはこんな感じです。

参考:BATIC(国際会計検定)® | 出題範囲・認定基準

BATIC対策|独学か、通学か

ここまで見てきたように、BATICでは事前に簿記の知識がどれだけあるかで、その難易度は大きく変わってくると言えます。

なおBATICの受験者データをみると、簿記2級取得者が最も多く、やはりある程度の会計知識を前提としていることがわかります。

BATIC受験者データ
引用元:BATIC(国際会計検定)® | 受験者データ

それを踏まえたうえで、独学と通学のメリット・デメリットをそれぞれ考えていきたいと思います。

独学のメリット

独学のメリットは何と言っても費用が安いとうことです。

BATICのテキストは、簿記に比べると数は限られているものの、良質なテキストが出ています。

オススメのテキストについてはこの記事の後半でも紹介していますが、費用を抑えたいという人や自分のペースで計画的に学習できる自信があるという人は独学でも十分対応可能だと思います。

独学のデメリット

逆に独学のデメリットについては、サポートが無いことですね。

BATICのSubject2では、外貨換算やデリバティブ(金融商品)など、簿記2級では出題されていない論点が出題されます。

また連結会計・リース会計・税効果会計などの、2017年以降に簿記2級の範囲に加わったばかりの論点も出題されます。

これらの論点は初見では非常にとっ付きにくいうえ、BATICでは当然すべて英語で出題されます。

こうした難しい論点についても、独力で理解していかないといけないのは独学のデメリットではあります。

通学のメリット

上で挙げたような難しい論点についても、わかるまで講師になんでも質問できるのは通学の大きなメリットです。

将来的に使えるレベルで理解することを考えると、独学よりも通学の方が良いのかもしれません。

ちなみに、BATIC対策講座を開講している予備校だと資格の大原が代表的です。

大原は僕も簿記2級の時にはお世話になりましたが、講師の質も高く、確かな実績があります。

大原では簿記3級学習者向けのBATIC講座を開講しており、上記で挙げたような簿記2級に出題される難論点、簿記2級ですら出題されないさらなる難論点についてもきっちりカバーする内容となっています。

大原BATICストレートコース

BATICの予備校については、大原とTACについて、実際の受験経験から詳細に比較してみましたので、ぜひこちらの記事もご覧下さい↓

通学のデメリット

ただし通学のデメリットとして、やはり独学に比べると何倍も費用がかかります。

そこで、Subject1は独学で取得し、Subject2だけ大原を利用するという方法もあります。

Subject1には先ほど挙げたような難論点は出題されませんし、単語さえ覚えれば難易度はそこまで高くありません。

大原ではSubject1を取得済みの受験者に対しSubject2のみを対象としたコースを開講しており、両方を対象とするコースより抑えた値段となっています(若干ですが・・)。

大原BATICsub2コース

本当に受講したほうがよいのか、自分のスタイルに合っているのか見極めるために、また資格の詳細情報を知るためにも資料請求してみても良いかもしれません。

なお大原のサイトでもBATICはマイナーな資格ですが、ページ上部の「資料請求」フォームからBATICを選択できます。

大原サイト資料請求ボタン

スマホの場合はこちら。

大原サイトBATIC資料請求スマホ

現在BATICを行っている予備校は、大原の他にはTACがあります。

両者の講座の特徴についてはこちらの記事にまとめましたので参考にしてください↓

関連記事:BATIC(国際会計検定)対策予備校:大原とTACの講座を徹底的に比較してみた

BATICのオススメ教材

さて、独学での取得をめざす場合には、良質な教材を選ぶ必要があります。

自分が実際に使ってみてオススメの教材は、中央経済社から出版されている、下記のシリーズです。

これらは独学でControllerレベルを取得するのにも非常に有効なテキストです。

Subject1のテキスト・問題集

Subject2のテキスト・問題集

市販されているBATICの教材自体がまだ数少ないのですが、おそらくその中では最も定評のある教材です。
試験で問われるポイントが、幅広く網羅されており、また合間に入る謎の脱力系犬キャラ(チワワ)がいい感じにユルさを演出しています。

※こちらのテキストの著者「建宮努(たてみやつとむ)」先生にインタビューを試みました!詳しくは記事の最後をご覧ください

BATICのオススメ過去問

このシリーズで論点を理解したら、TAC出版から出ている過去問題集を解きまくるのがオススメです。

TACの過去問が便利なのはこのように、過去5回分の出題論点が一覧できる点です↓

この一覧を見ると、ほぼ全ての論点が偏りなく出題されている事、しかも毎回近い問題番号が振られているのが分かります。

このように、先にも述べたとおり、BATICでは毎回各論点がまんべんなく、しかも同じ順番で出題されるため、過去問を繰り返し解き、試験のペースをつかむ事が非常に有効な対策となります。

また、先ほどの一覧で61〜64の番号が振られた論点は記述問題が出題された論点です。

これを見れば記述問題で出題されやすい論点が大体わかるので、それらの論点についてはしっかりと理解し、また過去問を繰り返し解き、問題に慣れておきましょう。

BATICの試験テクニック

最後に、BATICはTOEICを参考にして作られたとも言われており、確かにTOEICによく似ています。

短い英文で書かれた膨大な数の問題が、解いても解いても次から次へと出てくる様子は、あたかもTOEICを受けているかの様な錯覚を起こさせます。

特にSubject2は2時間30分と長く、淡々と問題を解いている中で集中力が切れてきてしまいがちです。

そこで、問題を解く順番を工夫する事をオススメします。

自分はSubject2は、試験が始まったらまず問61〜64の記述問題から片付けるようにしていました。

試験開始直後の最も集中力の高い時間帯に、最も注意力を要する記述問題を終わらせるのです。

記述が終わったら続いて、難しめの問31〜60のControllerレベルの問題に進みます。最後に問1〜30のAccounting Managerレベルの問題に進む、といったように、難しい問題から順番に解く事で、集中力の低下によるミスを防ぐようにしていました。

おまけ|BATICとUSCPA(米国公認会計士)について

さて、ここまでBATICの難易度について書いてきましたが、最後に少しだけ、しばしばBATICと比較されるUSCPA(米国公認会計士)についても書いておきます。

この記事を読んでくださっている人の中にも、BATICとUSCPAを比較検討している人もいるかも知れませんね。

USCPA(米国公認会計士)とは、その名の通りアメリカの公認会計士資格です。

アメリカで(厳密には登録した州で)会計士業務をするために必要な国家資格ですが、会計の専門資格として国際的に認知されています。

かたやBATICは日本のいち民間団体である東京商工会議所が主催する検定試験に過ぎません。あくまで検定なので、厳密には「資格」ですらありません。

そんなBATICに比べると、USCPA受験のハードルは格段に高くなります。

BATICが受験資格など無く2科目合わせても1万円ちょっとで受けられるのに対し、USCPAは

USCPAの受験資格
  • 受験資格:4大卒&取得単位要件(州によって異なる)
  • 受験料:1科目あたり約6万円×4科目

という厳しい条件になっています。

しかもUSCPAは、そもそもアメリカの資格なので、そうした受験資格や、合格後ライセンス登録する際の条件が州ごと・受験者ごとに異なるため、予備校のサポート無しで独力で合格するのはまず無理、というか非常に効率が悪い資格なのです。

そのため予備校代も合わせるとUSCPAに合格するには、総額60~100万円ほどのお金がかかってしまいます。

しかし、USCPAにはそれほどのコストをかけるだけの確かな価値があることは間違いありません。

USCPAの活かし方!4人の日本人ホルダーのリアルなキャリアパスを紹介します」でも書いた通り、USCPAには女性のキャリアアップや海外就職などの多様なキャリアの可能性があります。

とは言え、やはりBATICに比べると圧倒的にコストがかかるのは事実。

ここまで読んでもらってUSCPAの受験に興味がわいた人は、ぜひいちど受験予備校のアビタスの無料セミナーに参加してみることをオススメします。アビタスはUSCPA合格者No. 1を誇る名門です。

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アビタス USCPA講座

セミナーでは受験資格や出願州の相談はもちろん、取得後のキャリアについても相談に乗ってくれます。

また、もちろん同じ英文会計の資格であるBATICについても教えてくれるでしょうから、両者の違いや資格取得後のキャリアなども含めて、自分にあった選択はどちらなのか考える良い機会になるでしょう。

やはりキャリアについては、1人で考えたり、社内の同じ環境の人に相談したり、このブログ含めネットの意見だけを参考にするよりも、実際に足を運んでその道の専門家の意見を聞くのが一番です。

ちなみにアビタスのセミナーは参加するだけで↓の本がもらえます。買うと1,080円する本なので、今はUSCPAにそこまで興味が無いという人も、話だけ聴きに行っても損はしないかなと思います。

BATIC難易度・対策のまとめ

以上、若干脱線しましたがBATIC(国際会計検定)の難易度と対策でした。

独学か通学かという点については、先ほども書きましたが、自分の勉強スタイルと知識レベルに合わせて、予備校に通うか検討してみてください。

自分で計画的に学習できる自信がある人はここで紹介したテキストをみっちりやれば、問題ないと思います。

なお、BATIC Controllerを取得後、筆者はグローバル経理職に転職しました。

BATICが転職にどう活きたかは、「『BATIC(国際会計検定)は転職には意味が無い』は本当か?実際の経験から書いてみた」にまとめましたので、そちらもぜひご覧ください。

また、この記事でも紹介したBATICのテキスト「ゼロからはじめる英文会計入門」の著者・建宮努(たてみやつとむ)先生に、資格の取り方・活かし方についてインタビューしてみましたので、そちらも合わせてご覧ください↓

あわせて読みたい:BATICテキスト「ゼロからはじめる英文会計入門」の著者、建宮先生に聞いてきた!何のために資格とるの?→○○でしょ!

それでは、みなさんのキャリアアップを願っております!

国際経理の中の人(@baticwords_bot)でした。

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